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法話

随 喜

目連尊者という神通力の優れた仏弟子が見た地獄と浄土の様子の話があります。

まず地獄の様子を見てみますと、細長い机が並んでいて、両側で食事をしています。ひとつだけしなければならないことがあって、それは、1メートルほどもある長い箸で食べなければならないことです。皆一生懸命ご馳走をつまんでいますけど、長すぎて箸の先が口に入らない。頬を刺したり間違って目を刺したりみな血だらけになっている、そんな様子が見えたというのです。

一方で、浄土の様子を見てみますと、同じように、細長い机が並んでいて、両側で食事をしているのですが、地獄の様子と違って、誰もが満ち足りた面持ちでいる。よく見ると、皆が、「お先にどうぞ」と長い箸でご馳走を相手の口に運んであげているのです。

自分の幸せばかり考えると痛い目に遭う、相手のことを思いやって行動することが、自分の幸せになるという教えを例えた話なのでしょう。

仏教の教えに「随喜ずいき」という言葉があります。他人の善なる行動を見て自分も喜ぶ。その嫉妬や差別のない喜びの心を言います。

この随喜の功徳は実際にその善を行った功徳に等しいと仏典にはあります。
なぜなら、人が善を行っているのを見て心から喜び讃えることは私たちにとって大変難しいことだからです。
私たちは、口先では誉めていてもその人とその善い行いに嫉妬を感じ、自分でもそのくらいのことは出来ると思ったり、ひどくなると相手の行為やその人の欠点を見つけて非難すらしてしまいます。
だから、随喜という嫉妬や差別のない善なる心は、善なる行いを行うと同じくらい難しいから同じ功徳があるとされているのです。

昨今は、何かと他人の言動をSNSで叩くことが多い風潮です。それでなくても暗い残念なニュースが多い今の時代。これからは、他人の頑張りや喜びを素直に讃えたり、我が事のように喜んだりするニュースが多く流れる時代になってほしいものだと思います。

1月13日